緋色の7年間

制約を原動力に。法律事務所の弁護士と大手企業の法務担当者が、時に制約と闘い、時に制約を迂回していきます。

MVV が役に立たないと思っている人たちへ

MVV を軽視すると組織は崩壊する 以前にご説明したとおり、組織として成果をあげられるかどうかは、価値観の統一的な偏りか仕組み化をはじめとするマネジメントにかかってきます。今回は「価値観の統一的な偏り」のほうをとりあげます。典型的には Mission V…

事務所弁護士の「専門性」に関する一試論

はい、今回のテーマは弁護士の「専門性」です。 もうわたしが述べる意味はなさそうな語り尽くされていそうなテーマですが、読者に新たな気づきがあれば幸いです。 非法律家向けにご説明しておきますと、弁護士の場合には医師とは異なり診療科のような専門分…

とてもよく見かける実際のマネジメントの問題について

「個の集合」と「組織」を分けるもの 実務上ほぼ確立された見方だと思っていますが、「優秀な個の集合」と「生産的な組織」とを分けるものは、明確なレポートラインや会議体の設計などの仕組み化を中心としたマネジメントの巧拙か、あるいは価値観の統一的な…

理解をしてもらうということの難しさについて

今回はわたしの学生時代以降の真剣な悩み(のひとつ)を書いてみます。 ほかにも同じような局面に遭遇している方はいるかと存じますので、みなさまどうされているのかな、と。ネットなら誰か一人くらい同じような悩みを抱えていてもおかしくないかなと思うの…

職場内で上司や同僚と、メールとチャットとLINEでやりとりしているみなさんへ

ちょっと待てええええええええええええええええええええ どうしたら組織内部の連絡ツールが3つになるの? 正気なの? てかLINEって私物アカウントじゃん() わたしが(仕事外で)把握している限りでも、もはや1件や2件じゃないので、相当数の日本のホワ…

"AI" 自作ツールを使ってみたよ!

最近は趣味で "AI" を「自作」しているのですが、実用に耐える精度を出すにはアノテーション作業(手作業でデータを分類して学習させること)が半端なくめんどくさいですね。"AI" の実用化は概念実証 PoC が重要であり、要するに実用化の目途を判断するため…

ITツールを連携させよう!――今日から始めるデジタルトランスフォーメーション(※注:この記事は DX の解説ではありません。)

とりあえず Slack を導入してみた法律事務所や企業法務部の皆さん、Slack を LINE のように使っていませんでしょうか? まさかとは思いますが組織内で電子メールを頻繁に使っていませんか? 今回はITツールの導入に関するお話です。"SaaS" やら "DX" やら …

【感想】公道走行可能な電動キックボード ZERO9 に乗ってます。

■「電動キックボード」の法的性質 法律のブログなので法的性質から入ります。電動キックボードとは、電動式のモーターによって駆動する車輪付きの板のことです(上写真参照)。道路交通法との関係では、電動キックボードは、「内閣府令で定める大きさ(0.60…

法律事務所に入れられるはずの Slack や G Suite といったITツールが入らない理由

事務所のボスが後進的で新しいものについていけないから。以上。おわり。 …という身も蓋もない結論になります。 わたしが聞いている限りでは、Slack、G Suite あたりを入れているところはけっこうあるみたいです(Skype、Zoom などのテレビ会議系はいったん…

ブログ再開します。

ご無沙汰しております、こんにちは。 とても更新が滞っていました。 ブログ名を更新し、これからまた記事を投稿していきたいと思います。 テーマもおそらく大幅に転換することになろうかと思います。 よろしくお願いいたします。

リーガルテックの将来像ー第2回 想像と創造

1 業務効率化の「ずっと先のほう」 あー、えー、先に前回の弁解をしておきますか。 第1回ではとてもざっくり現状を見つつ、業務効率化の先を見据えたいよねという趣旨のお話をしました。別に業務効率化の路線自体が悪いわけではありません。実際のところ、…

リーガルテックの将来像ー第1回 現状概説?

あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 本稿のテーマは「リーガルテックの将来像」です。 具体的なプロダクトやサービスの解説は一切しません(取り上げた取り上げないで禍根を残したくないし)。第1回では、みなさんの頭の…

任天堂著作物ガイドラインの解説(もちろん非公式)

第1 原則論 平成30年11月29日付「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」(以下「本件ガイドライン」といいます。)が公表されましたので、学術的観点から細かい点を検討しようという試みです。 まず、本件ガイドラインが…

もし『デジタルネイチャー』を近現代人が読んだら(※つまりただの感想文)

2018年7月12日 更新 こんにちは~ 今回読んだ書籍は、落合陽一『デジタルネイチャー』(PLANETS、2018年。以下「DN」といいます。)です。 私自身はもともと物理学方面の人間でしたが、もはやそんな時代は忘れたので、本書の正確な読解は無理ですね。ググれ…

法学における「定義」

えーと、これから予備試験に向けて勉強をするという方からメールが届きまして、一般論として「定義」がどの部分のことを言っているのかわからないという趣旨の質問を頂きました。 わたしは予備校教師ではないので試験絡みの法律学習相談は受けていないですし…

『アーキテクチャと法』の感想と批判

こんにちは~ GWたのしんでますか~? 人付き合いの悪い私は、GWの半分くらいは読書して過ごしておりまして、ここまでで計十数冊読みました。今回は、その十数冊の中から興味深いと思った書籍一冊の感想文(に託けた批判的自説展開)です。松尾陽編『ア…

これから法学を勉強する皆さんへ(序)

みなさんは「法」って何だと思いますか? はい、そこのあなた。ふむ、なになに。 …「社会のルール」? なるほど。社会のルールですか。えーと、たとえば? …うん、そうね、「交通ルール」とかね。 はい、なるほど、道路交通法と言い直しましたか。 じゃあ、…

論告及び弁論の法的性質

学者・実務家の皆様の説明がぐちゃぐちゃでとてもとてもいらいらしながら考察を加えました。本日のテーマは「論告及び弁論」(と自由心証主義)です。ほんとわけがわからないよ。観点としては、裁判所と当事者の権限分配のお話といったところですかね… 1 主…

刑事手続の基本設計

今回は、刑事手続の基本設計について見てみましょう。 刑事手続の基本設計は「公判手続」(刑事裁判)を中核として展開されます。この公判手続を「なぜこの人は罪を犯したのか」などといった「実体的真実の発見」のためにあるものと考えると、裁判所(多くは…

「ケース・セオリー」とは何か

今回のテーマは、刑事弁護における「ケース・セオリー」です。 ケース・セオリーとは、日本の刑事弁護実務においては、「当事者が求める結論が正しいことを説得する論拠」をいいます。が、この定義については、個人的にはややポイントがずれているように思い…

新ブログのご案内

ご無沙汰しております。 この度、タイトルを「症拠手記」として、新たにブログをはじめることにしました。 旧ゆるふわ刑法ブログには斜線を引き、コンセプトに対し大幅な変更を加えます。 以下、あまり噛み砕かずに概要を説明します。 これまでの私の問題関…

更新終了のお知らせ

お久しぶりです、こんにちは。 えーと、たいへん申し上げにくいのですけれど、本ブログの中の人の司法試験合格に伴いまして、本ブログの更新を終了いたします。これまでご愛読くださいました皆様には深く御礼申し上げます。このブログも学部時代から始めて3…

IBM のワトソン (Personality Insights) に性格を診断してもらったよ!※ネタ

えーと、ごめんなさい。今回は、完全に、徹頭徹尾、ネタです。 この記事を読んでも得られるものはゼロだと予告しておきます。 IBMという外資系のIT企業はさすがにご存じかと思いますが、その人工知能にワトソン Watson というのがありまして、それで色々分析…

法学系以外書籍の感想

こんにちは〜 本日のテーマは、法学系以外の書籍レビュー第1弾です(なお、第2弾以降は未定)。今回は5冊の書籍をご紹介します。この夏休みの読書課題とかにどうぞ。 1 『経営の針路』〜これまでの30年とこれからの30年のお話 経営の針路―――世界の転…

情報雑感2(情報の偏りについて)

1 情報源について こんにちは〜 今回は「情報の偏り」に至るまでのプロセスについて考えてみたいと思います。 まず、情報源についてブレイクダウンすると、下図のとおりです。 情報源は、大きく「コミュニティ」と「情報媒体」に分類できます。「パロール」…

書籍いろいろ

こんにちは〜 本日のテーマは「書籍」です。 「書籍」は、本質的には、有体物に視覚的に読むことができる形で記載された文字列や図形、つまり情報です。情報源の一種ということになります。法学系の書籍は、判例集・判例解説やコンメンタールを除けば、だい…

情報雑感

こんにちは〜 本日のテーマは「情報」です。概念が広すぎる気もしますので、馴染みのある領域に話を限っていきたいと思います。 情報とは、不確実性を減ずるものと定義されます。 現代資本主義社会では、各々が不完全で断片的な情報をもっており、その情報格…

これからの法務問題を考えよう2017

こんにちは〜 本日のテーマは「これからの法務問題」です。もはや刑法とか全然関係なくなってきてますけど、まぁそういうてきとうなブログなんで。きっと本業のほうを超まじめにやってる反動です。ほんとに。たぶん。回顧的な刑法学より考えてて明るくなれる…

製作委員会方式と集団投資スキーム

0 イントロ こんにちは〜 本日のテーマは、そこそこ話題の「製作委員会」です。 先日、アニメーターさんとかの労働環境問題が報道されてましたけれど、製作委員会のせいじゃないんで。広告代理店は関係ないんで(某事件で有報記載のコポガバ体制がハリボテ…

詐欺罪と重要事項性〜特にチケット転売行為について

こんにちは〜 本日のテーマは、詐欺罪(刑法246条)の「欺罔行為」です。約1年ぶりに刑法分野の論点です(刑法ブログだけど)。 どうでもいいんですけれど、この業界、他人の悪口を言う人(というか無駄にプライド高い人)が異常に多いので、関係者の発言は…

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