ゆるふわ刑法ブログ

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遺伝情報差別禁止法(米連邦法)の立法経緯を翻訳してみた

こんにちは~

今回は、米連邦法の Genetic Information Nondiscrimination Act of 2008 〔2008年の遺伝情報差別禁止法〕の第2節の翻訳です。GINA Section 2 は「評決 findings」の規定となっており、日本法で言うところの法律の目的立法趣旨にあたるもの(講学上の「立法事実」)が記載されています。日本法と比べて、やたら長いです。ものすごく長いです。

ちょっと自分の英語力が不安ですが、翻訳してみました。

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議会は、以下の評決を行った。

(1) ヒトゲノムに関するシークエンスの解読と遺伝学の進歩は、医学の進歩のために主要な新しい機会を開いた。病気の遺伝的基礎に関する新たな知見によって、しばしば症状が現れる前において病気の早期発見が可能となったのである。遺伝子検査は、個人が特定の障害を患う可能性を低減するために行動することを可能にする。遺伝学に関する新たな知見によって、疾病に対してより効果的で、あるいは現在の治療よりも副作用の少ない、より良い治療法の開発が可能となるであろう。これらの進歩は、健康保険や雇用において、遺伝情報が差別に用いられる危険性を増加させるものである。

(2) 遺伝学に関する初期の科学は、精神遅滞、精神疾患てんかん失明、聴力喪失などのような遺伝的な「欠陥」が推測された人々を断種するために規定された州法の基礎となってしまった。最初の断種法は、1907年にインディアナ州で制定された。1981年までに、大多数の州が、外見の遺伝的形質や傾向を「正す」ために断種法を採用した。これらの州法の多くは既に廃止され、多くは改正されて適正手続や平等保護に関する必要不可欠な憲法上の要請を含むことになったところである。しかしながら、現在の遺伝科学の爆発的な拡大と初期遺伝科学に基づく断種法の歴史は、この領域において議会の行動を余儀なくさせるものである。

(3) 遺伝子は、表面上、中立的なマーカーであるが、多くの遺伝的な状態及び障害は、特定の人種的若しくは民族的集団又は性別に関連している。ある遺伝的形質は特定の集団の中で最も広まっているので、特定の集団の構成員は、その遺伝情報に関する結果について烙印を押され、あるいは、差別されるかもしれないのである。アフリカ系アメリカ人を苦しめる病気である鎌状赤血球貧血のキャリアを選別し、識別する計画の出現からわかるように、この差別形態は1970年代で顕著だった。再び州議会はその領域で差別的な法を制定しはじめ、そして1970年代初頭には鎌状赤血球貧血を理由にすべてのアフリカ系アメリカ人について遺伝的スクリーニングを義務化しはじめたことで、差別や不必要な恐怖を引き起こした。このスティグマの一部を緩和するために、1972年の議会は、鎌状赤血球検査が自発的でない限り合衆国からの連邦資金を保留する国家鎌状赤血球貧血管理法を通過させた。

(4) 議会は、職場における遺伝的差別の例を知らされた。これは、Norman-Bloodsaw v. Lawrence Berkeley Laboratory 事件判決 (135 F.3d 1260, 1269 (9th Cir. 1998)) を導いたローレンスバークレー研究所における雇用前遺伝的スクリーニングの使用例を含んでいる。差別による恐怖の軽減と、雇用及び健康保険におけるその実務慣行の禁止において、議会は、やむにやまれぬ公共の利益を明らかに有する。

(5) 健康保険及び雇用における遺伝的差別に対処する連邦法は、その保護範囲及び程度の双方において不完全である。さらに、多くの州がある種の遺伝的差別禁止法を有する一方で、これらの法は、そのアプローチ、適用、そして保護の程度に関して大きく異なっている。州法と連邦法の既存のパッチワークが混乱しているとアメリカ国民や医学界が理解しており、そして差別からの保護が不十分であるという実質的な証拠を議会は集めた。それゆえ、遺伝に関する検査、技術、研究、そして新たな治療法を個人が利用可能とすることによる差別から国民を完全に保護し、あるいは差別の可能性についての懸念を和らげるために、連邦法によって国家的で統一的な基本的基準を確立することが必要なのである。

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念を押しておきますが、これがそのまま法律に書いてあります。すごいですね、アメリカ…

みなさんの参考になれば幸いです。

それではまた~

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