緋色の7年間

制約を原動力に。法律事務所の弁護士と大手企業の法務担当者が、時に制約と闘い、時に制約を迂回していきます。

これからの法務問題を考えよう2017

こんにちは〜

本日のテーマは「これからの法務問題」です。もはや刑法とか全然関係なくなってきてますけど、まぁそういうてきとうなブログなんで。きっと本業のほうを超まじめにやってる反動です。ほんとに。たぶん。回顧的な刑法学より考えてて明るくなれるし。

このブログではありませんが、私は3年前くらいに今後発展する3つの技術的思想というものを提示していました。それは、①Proof of work システムビットコイン等)、②相互評価型分散ネットワークサービスシステムクラウドソーシング等)、③評価資本制度 reputation capital の3つです。

このうち、①のPOWは3年後の現在までに Fintech (Finace + Technology) などと呼ばれる一連の概念の束が出てきたおかげで、ようやくヒットしました。POWの説明とかは、日本語の書籍とかもあることですし、各自の学習に委ねます。論文はこれだけど。日本の場合には、主にグループ企業間の内部決済に使われる予定らしいです。もう少し他に用途があるんじゃないかという気がしないではないです。でもとりあえず Fintech 関連で法務需要が生じました。過去の話なのでどうでもいいと言えばどうでもいいのですが、当時は某経産大臣が無理解を示していたこともあって、技術利用自体が全然広まりませんでした。法務の出番ほぼなし。換金所が吹っ飛んだからってなんだっていうのさ。ええ、日本は世界と比較して少なくとも3年遅れです。もう中国に置いてかれました。本ブログは建前上は司法試験解説のブログということになってますけど、司法試験がどうこう言ってる場合じゃないですよ。いまだに起案が手書きとか、通信手段がファクシミリとか、正気ですか? 日本の上のほうの人たちって機械オンチひどすぎでしょ。これはもうFEを昇進条件にしてですね(この先の発言は削除されました

②については、半分当たって半分外しました。②は相互評価方式のプラットフォームですね。最初から業法の問題があるのはわかっていましたが、思ったより浸透しませんでした。一部浸透しているものもありますが。法務問題としては、プラットフォーム提供企業のビジネスモデルに付随するリーガル・リスクの問題に加えて、本業であれ副業であれ個人が業法問題等を抱えるという問題があります。クラウドソーシングについて言えば、もっと普及するかと思っていましたが完全に外しました。受注者の品質が問題になるかもとは思っていましたが、まさか発注企業のほうの品質のほうが問題になるとは思っていませんでした(「『フェイク・ニュース』と事実報道」参照)。なお、このブログでは少なくとも記事を外部発注してないので、ご安心ください(内容の信憑性について保証するとは言ってない)

最後に③ですが、これはまだ時間がかかりそうですが、個人的には確実に当たると考えています。元ネタはレイチェル・ボッツマンの見解で、多元的な評価情報を一元的に管理するプラットフォームのことですね。②の汎用化発展系みたいなものです。えーとイメージ的には、Facebook上に他者からの評価(複数次元の値)をホルダーして表示する仕組みです。Amazonレビュー的なパラメータがたくさんあるかんじと言えば伝わるでしょうか。ここでの評価情報は要するに「信用情報」(ある種のリスク表示)なので、評価=信用=カネ(資本)という図式からいけば、様々な場面で利用できるわけです。プライバシーも何もあったものじゃないけどね。いや、もしかしたら先に人工知能(AI)のほうが足が早くて人間が手動で数値とか評価軸とかを設定しなくても済むかもしれないけれど。パーソナルデータを集積して利用したいと考えるのはビジネス的には当然であって、ゆえにどのような経緯を辿るとしても最終的には何らかの形で一元化されていくはずです。だって学歴とかそんないい加減な基準(経済学的にはシグナル)で判断されるよりマシでしょ? 今現在、学歴とかで判断されているのは、判断者に判断するだけの情報と情報処理能力がないからです。たくさんESが来ても捌けないし。逆に言えば、情報とその情報を処理できる能力さえあれば理論上は属性的要素を完璧に排斥(当該個人レベルまで極小化)できるということです(※この場合、かなりの数の大学が吹き飛ぶことになります)。ということで、今後の法務問題の中心は、このような話に移行していくと思います。たぶん、きっと。

その他にヤマを張っていたものとして、人工知能(AI)関連ヒトゲノム関連があります。私が人工知能(AI)に注目したのは2年前くらいですかね。それから現在に至るまで企業法務系の皆様が全力を出してくれたおかげで一瞬で置いてかれた感がありますけど。ちなみに、人工知能が代替できるのは当面は文献・判例等のサーチャー業務ですから、弁護士という職業自体はそんなに簡単に潰れないと思います。他方、ゲノム関連はまだまだいける……が、肝心のビジネスのほうがなかなか出てきていないという=まだ採算取れない。いいんだ…次はブレイン・マシン・インターフェースあたりについて開拓するんだ…

考えるのおわり。

皆様は、将来の法務をどうお考えになるでしょうか?

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